赤壁の戦。孫家の面々は僕はあまり好きでもないけど周瑜ってすごいな。あの曹操を、圧倒的な大軍を擁した歴戦の曹操を負かすなんて。
負けた。
曹操は、とっさにそう判断した。
あらゆる感情を押し殺し、次にどうするべきか考えた。
怒ったり、嘆いたり、悔やんだりしてないで「考えた」ところが曹操の優れたところで、これがぎりぎりで劉備軍の追撃を間一髪でかわすことにつながる。
逃げる曹操と虎痴・許褚と、追う張飛、趙雲の攻防も手に汗握る緊張感。
許褚は焦る気持ちを抑え馬をつぶさないよう休みを取りながら逃げる。追われる者は一気に逃げたいものだろうがぎりぎりのタイミングを見極めている。曹操は許褚に完全に従う。
追う張飛、趙雲も、馬をつぶさないよう困難な追撃を続ける。
「曹操」
呻くように、張飛は言った。江陵までに、必ず追いつく。追いつけば、首が取れる。
とにかく、曹操がいた。劉備が飛躍しようという時、それを潰すのは、いつも曹操だった。首を、捻じ切ってやりたい。何度も、張飛はそう思ったものだった。
その曹操が、五里、いや四里先にいる。
そして、許褚と張飛があいまみえる。曹仁の援軍が間に合ってしまったので決着はつかなかったが、いったい許褚というのはどのくらいの強さなのだろうか。
- 作者: 北方謙三
- 出版社/メーカー: 角川春樹事務所
- 発売日: 1997/10
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (2件) を見る