今年15冊目「三国志 六の巻 陣車の星」

ついに孔明登場。他の人物もそうだが北方三国志孔明も一味違う。

 ひとりになると、孔明は部屋の隅にうずくまるようにして座った。
 このまま、終ってしまうのか。畠の土と語らいながら、朽ち果てていくのか。夢を見ることさえ自分に禁じ、尽きることのない悔恨の日々の中で、いつか老いていくのか。
 呻き声が聞えた。
 自分の呻き声だった。

そして三度目の劉備の訪問でついに孔明劉備とともに闘うことを宣言する。これまでいろんな三国志を読んで来たが、三顧の礼としてだけでなく三国志として最高の描写。電車の中で読みながら泣いてしまった。

「闘います、私は」
孔明は言っていた。
劉備玄徳様のもとで、天下万民のために、闘います」
「まことに?」
「二言はありません」
劉備の眼が、孔明の顔を射抜いてきた。涙は、まだ流れたままだ。

そして北の制圧を終えた曹操が大軍を率いてやって来て、名高い長坂橋の戦い。張飛趙雲が超人的な働き。感動と興奮が続く。

三国志〈6の巻〉陣車の星

三国志〈6の巻〉陣車の星