今年57本目「八日目の蝉」

監督:成島出
出演:井上真央永作博美
製作:2011年 日本
映画 八日目の蝉 - allcinema
原作者が「『母性』について考えていた時に書いた小説」だと言っているのを目にした。
永作さんは子どもの産めない体になったものの不倫相手の赤ちゃんを誘拐して、その子どもと二人で生きて行くことだけを願い、母らしい母に見える。でも誘拐犯人。つかまった後の裁判でもなにがしかの満足感でもあるのか怨みつらみや謝罪の言葉ではなく、4歳まで育てさせてもらったことに感謝の言葉を述べている。
森口瑤子は赤ちゃんを奪われ、4年経って自分のもとに戻って来たものの自分にはなつかずわが子とのぎくしゃくとした関係に嘆き悲しみ苛立つ。
井上真央は育ててくれた永作さんが誘拐犯と知り、「あの女」なんて憎もうとしている。実の母とはうまく行かないともう諦めてしまっているように見える。そんな中、自分も「あの女」のように不倫相手の子どもを妊娠してしまう。ラストにはおなかの子を「大好きでたまらない」と言っていたし、井上真央なりの母性を獲得したんだろう。
小池栄子はみずからの男性恐怖症ゆえ母性を井上真央に預けているように見える。井上真央を助け共に子どもを育てることが自分の母性だとばかりに。
男性陣はひどい。永作さんの相手も井上真央の相手(劇団ひとり)も不倫しといて「ちゃんと考えている」くらいのことしか言わない。劇団と井上真央の場面で劇団の顔が変な風に切られているのを見て、ああこの映画では男はどうでもいいんだなと思った。
しっかりとした真っ当ないい映画見たなぁって感じがした。
★★★★☆