今年9冊目「三国志 三の巻 玄戈の星」

曹操、またも大敗。息子に馬を譲ってもらい命からがら逃げ延びる。息子・曹昴は戦死。相手は張繍というショボいやつ。
袁紹、名門を鼻にかけたいやなやつキャラだが、

 できるかぎり、流す血を少なくしながら、この国を統一していく。そのためには謀略はためらわずに行う。人の血は、国の血だと思っていた。血を失うのは、国が力を失うことなのだ。

これはこれで納得。
三の巻では呂布が戦いにつぐ戦い。袁術と戦い、劉備と戦い、曹操と戦い。ついに倒れる。

劉備呂布相手に果敢にガツンと当たり、関羽張飛趙雲の働きもあり、いい戦いをするが、撤収。
劉備

 また、会おう。劉備は、心の中でそう語りかけた。呂布が、返事をしたような気がした。

呂布

 果敢に闘い、整然と撤収する軍を、呂布は攻めようとは思わなかった。自分が決して攻めないということを、劉備はよく知っていた、とも思った。

曹操相手には呂布は傷ついた赤兎を救うため、四百歩の距離で曹操の背後の鎧を射て、劉備の武将・成玄固を呼び寄せる。
曹操は思いつめたように呂布に降伏を呼びかけ、ともに天下を目指そうと説得するが呂布は応じない。
呂布が、妻の瑶とともに、最も愛した赤兎との別れ。

「いいえ、呂布様は、赤兎と別れをなさいました」
 不意に、城から一緒に出てきた若者が、声を放って泣きはじめた。
「男らしい、別れでございました」

呂布は黒きけもの、最後の騎馬隊四十騎で曹操軍に突入し、馬が倒れ起き上がったところを矢で射られ戦死。
豪傑がひとり消えた。

三国志〈3の巻〉玄戈の星 (ハルキ文庫―時代小説文庫)

三国志〈3の巻〉玄戈の星 (ハルキ文庫―時代小説文庫)