今年のxx冊目「水曜の朝、午前三時」

いい小説。「悲しい」というほどはっきりしたものではないけれど何だか泣ける。でも泣くのが何だか気持ちいいような。
すごく勇気をもらった一節。

 さあ、今度はあなたたちの番です。何も難しく考える必要はありません。人生は宝探しなのです。嫌でも歩き出さなければならないのだし、それなら最初から宝探しと割り切った方が楽しいに決まっているではないですか。そう、楽しめばいいのです。
(略)
 迷った時は急がずに立ち止まりなさい。慌てたって、いいことは一つもありはしないのです。物事を理性的に、順序立てて考えるのは悪いことではないし、勉強や読書は常にあなたの助けになってくれるでしょう。でも、これだけは忘れないように。何にもまして重要なのは内心の訴えなのです。あなたは何をしたいのか。何になりたいのか。どういう人間として、どんな人生を送りたいのか。それは一時的な気の迷いなのか。それともやむにやまれぬ本能の訴えなのか。耳を澄まして、じっと自分の声を聞くことです。歩き出すのは、それからでも遅くはないのだから。

僕は「あなたたち」よりもこの言葉を発した人に近い年だけれど。

水曜の朝、午前三時 (新潮文庫)

水曜の朝、午前三時 (新潮文庫)