今年13本目「息もできない」★★★★★

監督:ヤン・イクチュン
出演:ヤン・イクチュン、キム・コッピ、イ・ファン
製作:2008年 韓国

 韓国インディー映画界で俳優として活躍してきたヤン・イクチュンの長編初監督にして世界各地の映画祭でセンセーションを巻き起こした衝撃作。韓国の若者の父親世代との葛藤を背景に、愛を知らずに社会の底辺で生きるヤクザな男と心に傷を抱えた勝気な女子高生が繰り広げる魂と魂のぶつかり合いが、剥き出しの暴力描写とリアルな感情表現で、赤裸々かつ緊張感いっぱいに綴られる。主演はヤン・イクチュン自身と本作の演技が絶賛された韓国期待の若手キム・コッピ。
 借金の取り立て屋をしているサンフンは、母と妹を死なせた父親に対する激しい怒りと憎しみを抱えて生きていた。常に苛立ち、情け容赦ない暴力を振るっては周囲を怖がらせていた。ある日サンフンは、道端で唾を吐き、偶然通りかかった女子高生ヨニのネクタイを汚してしまう。見るからに強面のサンフンに対しても怯むことなく突っかかっていくヨニ。最悪な出会いを果たした2人だったが、不思議とウマが合い、奇妙な交流が始まる。ヨニもまた、ベトナム戦争の後遺症で精神を病んだ父親との間に確執を抱えていたのだった。そんな中、ヨニの弟ヨンジェが偶然にもサンフンの手下となり取り立ての仕事を始めるのだが…。
映画 息もできない - allcinema

キネマ旬報外国映画ベストテン1位。
ブログ各方面で絶賛されているのを目にして期待しまくっていたが、ついに見れた。

素晴らしい。
わたしが好きなシーンは、まず、サンフンとヨニとヒョンイン(サンフンの甥)の3人で出かけるところ。

屋台でごはん食べてるのを見て、ほっとしたというかなんというか涙がどわーっと出て来た。
それから、サンフンが怒り憎んでいる父親が自殺を図り、病院に運びこんで自分の血液を輸血させて一命を取り留めた夜、川原にヨニを呼び出したところ。名シーン。ふたりといっしょにぼろぼろ泣いた。

ラストは切ない。もしかしてふたりで幸せになんて、ありそうもないとは思いつつも期待しつつ、やっぱり予想通りそううまくは行かない。うまくは行かないどころか最悪の結果。
そして最後の最後。屋台をつぶしているヨニの弟をヨニが見つけるシーン。ヨニの弟にサンフンが重なるとこ、度肝をぬかれました。すごいわ。
ファンギュ役の若手。顔はおもしろいし、役柄上なんだろうけど変な服のセンスで笑っちゃうし、印象に残った。ユン・スンフン。